開幕を直前に控えた試合前練習後。田中幸は高ぶる気持ちを抑えるように、静かに、淡々と熱い思いを話しだした。本拠地移転3年目で初めてとなる記念すべき試合。そんな特別な日に、応援してくれるであろうファン1人1人に語りかけているようだった。
田中幸「初めての札幌ドームでの開幕戦ですから気合の入り方も違う。開幕っていうと東京ドームで試合っていう感じがして、まだ実感はないですが、その日になると気持ちもまた違うはずです。打席に立った時の声援とかすごいですからね。楽しみにしています」
86年に入団してから日本ハム一筋で、今季でプロ21年目。初めて主将を任されることになった。昨年11月にヒルマン監督から直接、打診を受け快諾した。キャンプから同監督を話し合いの場を持ち意見交換もしながら、姿勢で選手を引っ張ってきた。自覚も強い。
田中幸「昨年を見てもファンの方が年々、増えている気がする。日によっては入るなとか、感じます。でもやっぱり強くなければいけない。お客さんを大事にしていかないといけない。勝ってファンを喜ばせる。優勝すればもっとファンは増えると思いますから」
昨季の5位低迷打破、個人的な目標としてはあと33本に迫った2000本安打…。うまくバランスをとりながら両立させていくことも1つの目指すものだ。
田中幸「投手が良くないと勝てない。打てる時ばかりではないから。少ない点数の試合を、接戦をいかにものにしていくかがカギになる。キャンプ中には監督とも何度か話もしてきた。自分の状態もここ数年にないくらい、いい。この時期はずっと(右)ひじの状態が良くなくて、投げられないし、バットも振れなかったから。ケガさえしなければいいな、と思っている」
チーム最年長として、また主将として1年間、選手を引っ張っていく。
田中幸「名前だけの主将ですから…ね。でも1度も今まで日本ハム以外でプレーしようと思ったことはない」
田中幸はこれまでの野球人生の歩みのように飾らず、おごらず、自分の信じる道を歩んでいく。今日25日の開幕戦から、また1年をしっかりと刻んでいく。
