ロッテ戦が雨天中止になった1日、田中幸が会見を開き「Xデー」に向けて次々に異例の要請を出した。「お立ち台? それは勘弁してください。逃げます」「逃げられるものなら逃げたい」「そっとしておいてください」などなど…。あまりに後ろ向きな姿勢に、チームが強硬手段を取る可能性が出てきた。
昨年のパ・リーグ制覇時に、胴上げを拒否して逃走した「前科」がある。結果的に強引に宙を舞わされたが、“逃走癖”があるだけに、現場の球団関係者は「何とか策を講じたい」と対策を検討し始めた。記録達成試合の終了間際に、ベンチから選手ロッカー室へつながる通路封鎖、俊足選手には事前に「身柄」を確保できる態勢をつくるよう通達するなど、具体案も出ている。また田中幸よりもパワーバランスが上の高田GM、年上の球団職員らによる事前の“説得工作”まで視野に入れている。
ヒルマン監督は「彼は謙遜(けんそん)的な性格。伝統的な日本人だからね」と一定の理解は見せた。だがチーム全体で選手の誕生日や出産などを祝福するのが通例なだけに、今回も協力は惜しまなさそうだ。
投手陣のリーダー金村は「絶対に逃がしませんよ。任せておいてください」と宣言するなど、選手たちも意欲満々だ。謙虚で思慮深い田中幸の「大捕物」も、見せ場の1つになりそうだ。
